歴史が証明する逸品

「チーズハンバーグだったら十和田にすんごくうまいところがあるよ」
ソールブランチカフェへと久しぶりに出向いたときに、カウンターの向こう側でみつえさんが言った。
「私のなかではいまのところあそこのチーズハンバーグが一番だね、それにその内装なんかがレトロですごくかっこいいの、いまどきあの雰囲気をもった店ってなかなかないだろうね」
みつえさんがそう付け加えた後に、隣にいた拓ちゃんが口を開いた。
「そこ、俺がガキの頃から通っていたところで、よく家族で行ってたもんですよ。まさに「昭和の喫茶店」ていった感じ。マスターは今でも蝶ネクタイしてるんですよ」

ハンバーグ好きの私にとっては何よりの情報でありますし、そしてまた、その「昭和の喫茶店」というとても懐古的な響きに興味津津こころ鷲掴み。
なんと幸運な事に、翌日、たまたま休日であった私は、計り知れない妄想のデミグラスソースの渦の中に飲み込まれそうになりながらも、のこのこと出かけて行ったのであります。

喫茶店「イッシン」
聞いたとおり、ルート45を十和田市から五戸町方面に向かって行った途中にありました。

うーん、すばらしい!
拓ちゃん達の言っている意味がわかる。
店内、なんだかきちんとしている。格調が高い。備品はていねいに長年使いこまれている。落ち着く。
私はその使いこまれた歴史的メニューをおもむろに開き、そしてそれを注文したのです。

ジャジャ―ン!
でたーっ、なんとうまそうなチーズハンバーグではありませんか。
チェダーチーズの濃い黄色みとデミグラスソースのこげ茶の淡い融合が私の網膜を釘づけにし、またその融合物が鉄板のうえで焦げ付いた魅惑臭が食欲をそそる。もう待てない、いっただきまーす!

いやーうまかった。久々にこんだけうまいハンバーグを食ったような気がする。
まんぞくまんぞく大まんぞく。


翌週、私は性懲りもなく、またまた伺ったのであります。しかも今回は「Lサイズ」300gを注文。
年甲斐もなく、未だにハンバーグに目がない私なのでありました。

が、しかし、やはり、私ごときには200gが妥当でありましたとさ。