2012年4月

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「これからの建築はこの工法がいいんですよ」
蝶ネクタイがいい感じのミッチはそんな事を話しだした。

社内の新事業立ち上げにより、ミッチは活気あふれる現場から営業業務へと移動になった。
地震に強いその新しい工法理論を携えて、ミッチは日夜ほうぼうと歩きまわっている。
だけどそのコートで夜の営業だけはやめた方がいい、ジンが夜な夜な白ブリーフにそのコートをはおって街に出ては職質にあっているらしいから、同じ変態扱いされてしまいかねないからね。
まあ、つまらないジンネタはそれくらいにして、新しいものは浸透するまでにどうしても時間がかかってしまうもの、地道に根気よく一歩一歩、が成功につながって行くことを信じておりますよ。
「あーまた買ってしまった」
商品の収まった紙袋を前にミッチはそういった。
「この前靴を買ってもらったばっかりだけど大丈夫なの、カミさんの方」
私は少し心配になり聞いてみた。
「いやいや、大丈夫だけど大丈夫じゃないですよ、内緒ですよ内緒」
ミッチは、口元に人差し指の一文字をかざして例のポーズをとった。
「そうなんだ、でもわかるでしょ、新しいものがあったらすぐに・・・きっとわかってるよ」
ミッチはわざとらしくにこりと笑みをつくり、そして言った。
「たぶん・・・・」
まるでいい感じ、仲のいい夫婦であります。

すでに閉店時間を迎えたらしい、ミッチは「それじゃあまた」のひと言を残し、クールにグッパイ。
と言うのも、私たちはミッチが帰るという行為で、ああもう8時か、といった具合に時間がわかるのです。
律義な男のその後ろ姿が頼もしい、生まれてくる子供のためにも頑張れ、ミッチ!
みんな応援してますよ。
展示会出張だったが午後は2件とかなり余裕のある展開。
そういえば上野に新しいパンダがやってきている。思えば小学生のころ父親と「ランラン、カンカン」をみるためにその上野公園で長蛇の列にならび、とうとう疲れ果てて見るのを断念(コラム第77話)仕方なくといっていいのかレッサーパンダなるパンダの親戚を見て帰った。
そうだ、せっかくなんだから今回は本物のパンダを見てみよう、なーんて思い立ったのです。

と言うのも、休日だった昨日、バイクの車検も上がっていた私はそのバイクで年明け一番十和田湖に向かったのでありました。
新郷を経由して迷ヶ平の山頂を目指したのですが途中から思いもよらない3メートルを超える雪の壁が道路脇に出現。それでも道路自体は乾いた状態なので迷わず前進。
とうとう山頂に到着、そのまま秋田県に突入したところで、なんと「通行止め」。
ええええええええええええええええええっ!と相成った訳であります。いつもの事であります。
だから、その埋め合わせ的意味合いを込めての「パンダ」なのであります。

おおーっ、確か高校を卒業して以来の西郷さんではありませんか、懐かしい懐かしすぎる。
それはそれはお元気そうでなによりであります。
西郷さんはでかい、その大きさに感動しながらも目指すZOOへと向かう私。

あれだあれだ、見えてきた。
私はワクワクドキドキ、その歩を進めたのであります。

あれ?ここは入り口のはずだが・・・どうしたんだ?
私は何がどうしたのか理解できずにあたりをぶらぶら、するとサイドゲートから人々がぞろぞろと出てくるではありませんか、ふとそのゲートを見ると「出口」のプレートが。
ここは出口か、私は急いで先ほどの玄関らしきところへ戻り、よく見ると・・・

受け付けは4時までとの記載、私はすぐさま右腕の時計に目をやると、なんと4時10分の表記、あちゃーっ!
またしてもやっちゃいました、恒例事前調べなし行動にて、時間切れであります。
昨日といい今日といい人生なかなか手ごわいものですね。
それだからこそ、また、どうなるか、おもしろい!

ちなみに私はこれくらいの葉桜が一番好きであります。
上野公園は穏やかに夕暮れを迎え、そして都会にあっても淀みのない透明感のある空気がたゆたっておりました。
ここは、いいところだ。
3月の中旬あたりでいったん落ち着いていた展示会出張が4月に入り再びはじまりだした。ここ北国では今年の冬の長さに辟易。なんと4月に入ってからも雪の日が数日あった。そんなまだまだ寒かった日々に比べればようやく過ごしやすい季節を迎えた、といった今日この頃であります。
出張の日の早朝のシャワーにももう震えあがらずにすむようです。

やはり東京あたりは違いますね、すでに桜は満開、ふわりとした気分になります。

私の好きな表参道のケヤキ達もなんだかいきいきとした色合いに変化し、待ちこがれた春を満喫しているようにもみえます。

ここは以前にも一度伺った事のある、あるメーカーさんの事務所なのですが、あらびっくり、これこそ春爛漫。ヨーロッパのある田舎町に存在するだろう洒落た一角、と言った趣向が感じられます。
気温もすでに20℃はこえている様子、北国育ちの私にとってすでに夏の気温であります。しかもあちこち歩いていることもあり、なんだか暑い。そこで私は思い切ってTシャツ姿になりました。
まわりは未だ軽めのコートを着ている人々でごった返していてなにぶん場違いの感はありますが仕方がありませんね。どれどれのんびりとカンコーヒーでも飲みながら野外で一休み。それにしても、気持のいい陽気です。

おおっといけない、のんびりし過ぎて時間が・・・・ま、いっか、たまには!
「NHK」朝ドラ・かつて目にしたこともなかった私。
思い出すことはできないのだけれど、何かのきっかけでたまたま「おひさま」を目にした時に、これはどうなって行くのだろ、などと妙に感じいってしまい、ついつい日課のようにその流れの中に引き込まれてしまった。
これがまた、私の日課であるジョギングに時間の制約的重荷を与えてくれて、この時間までに走りきらなければならない、はたまた、この時間ではまず見てからでなければ間に合うまでには帰ってこられない、と言ったフラストレーションがじわじわ。
それでも、やはり続きが見たい欲求には到底勝てずにテレビの前にあえなく正座。
よし、この連ドラマが終わったら絶対に次は見ない!そう心に決めて終盤まじかな日々を坦々と過ごしておりました。
ところが、ところがどっこいでございます。
「カーネーション」が始まったら、もう瞬時にどっぷり。
泣いて笑って笑って泣いての岸和田世界にしっかりとはまりこみ、またまた時間的制約の渦の中にポッチャリコン!
どうなるのだろう、がんばれ糸子、なーんて思っているたんびに朝8時にはすっかりとテレビの前、にて半年。
そしてとうとう荒波を乗り越え完結となってしまいました。
「いっちょいで!」
岸和田弁での糸子(尾野真千子)のこの言葉がかなり大好きであります。理屈抜きに、言われてみたい言葉ベストテンがあれば絶対に上位に入るに違いないのです、私の中では今のとこNO1でございます。

そうです、そしてついに買ってしまったのであります、アマゾン大絶賛おすすめDVD。
次回、連休がもらえたら連続でみてみたいと今からワクワク楽しみです。
あのお父ちゃん、そして家族があって糸子の成長がある・・・実にドラマティックですねー。

それではみなさんそろそろ・・・「いっちょいで!」
うーん、やっぱり糸子の方がいいね!