2009年10月

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ハ-ハ-・ゼ-ゼ-・ハ-ハ-・ゼーぜー・・・・・・

息を切らしながらのジョギングの最中だった。
どこからともなく「モスラーヤ、モスラーーーーーーー」
と、いつか遠い昔に聞いた覚えのあるフレーズが流れて来た。
懐かしい。懐かし過ぎる。
確か、私がまだ小学生の頃の、そう、あれはザ・ピーナッツが妖精に扮して歌っていたやつだ。
あの頃はよく映画館へと足を運んだものだ。
たっぷりと汗をかいた体に淡い思い出が甦る。

しかしなぜ今モスラなのだ?
そんな疑問がふと頭の中を駆け巡っている時だった。

「えっ、いったいあれは何だ!」
私は一瞬目を疑った。あの遥か向こうの海に浮んでいるのは、もしや・・・・。

モスラ?
モスラの幼虫?
モスラの幼虫ではないか!
イノファント島ではなく、こんな近場に生息していたのか。
子供の頃みたあの映画のモスラは実在していたのか?まったくおどろいた。
酸素の薄くなった私の頭はくらくらと揺らめいた。
そして何気なく空に目をやった私は再び衝撃を受けた。

アナゴ?
空には巨大なアナゴが出現していた。いったい今日はどうしたと言うのだ。
モスラといいアナゴといい、私は少し走り過ぎたのか?次回から少し距離を縮る?

そのうちその巨大アナゴは東の彼方へと消え去って行った。
そうだ、問題はモスラだ。私は前進し、そっと近付いてみた。

どうやら寝ているようだ。
いやいや違う、あれはサナギ化しているのだ。
もしかすれば羽化するのも近いのかもしれない。しかし羽化したらとんでもないことになる。
そうなったらやはり本物の双子の妖精がいなくては大変だ。
私はあたりを懸命に探してみたのだが一向にみつからない。
妖精の方は未だイノファント島にいるのかもしれない。そのうち来るのかな?

「それならそれで、まあ~いっか!」

私は再び走り始めた。


秋は着実に一歩一歩と近付いて来るのです。
日中はそれでも太陽が顔を出すと気温も20℃を越えて春の様に温かいのですが、夕暮れを迎えたあたりにはグッグッといっきに気温も下がり始め、秋があたりを支配してしまいます。
・・・う~さぶ!

皆さんは覚えているでしょうか?
今年6月25日のブログで紹介した「ハゼの木」を。
そう、世田谷区奥沢にある景色盆栽「sinajina」より購入した例の奴。


これは購入直後のスナップです。
活き活きと、そして青々と若さが爆発しておりました。


こちらは、あれから3ヶ月が経過し、初秋を迎えたあたりのスナップです。
紅葉は山がそうなるのとは反対に下から徐々に上へと登って来ています。最初は一番下方にあったものがものの見事に真紅に染まっておりました。
その葉も早々とちり、丁度中間あたりが赤く染まり出したところです。


「オォ~ビューティフル~ワンダフル~サイコ~ワ~オ!」
てな感じで、これが現在の姿です。
なんだか幹もひと回り太くなった気がします。
てっぺんの方は未だ完全に変化していませんが、全体的に真紅になって来ました。
赤が本当にきれいです。
苦節5ヶ月、ついに枯らす事もなくべっぴんさんに育て上げました。

「sjnajina」小林健二様、元気な「ハゼの木」をありがとう。

この、初めての冬も枯らす事無く無事に乗り切りたいと思っています。
それはそうと、先日、行着けの美容室「ミュゼ」に行ったところ、店主の吉本王子から
「あれあれ、ちょっとてっぺんあたりの密度が・・・・・」
なんて言われ、そっちの枯れが心配でならない今日この頃なのでありました。
「大腸にポリープがありますね、それも2個」
いつもお世話になっている病院の先生からの有り難いお言葉。
かつて病気と言えばカゼくらいで、ほとんどが1~2回通院して駐車をうてば、いやいや、注射をうてばそれですんでいたのだが。
しかししかし、今回はちょっと事情が違うらしい。
「このポリープのひとつは直径10ミリを越えてるから早めに切除したほうがいいですね。
紹介状を書きますからそちらの大きな病院で摘出手術を行なってもらってください。うまく行けば2泊3日の入院でなんとかなると思いますよ」

入院とはどんなものなのだろう・・・・・。

まったくの未知の世界、好奇心的期待と想像の付かない不安が入り交じる奇異な感覚。
2泊3日と言うお泊まり保育的短期間なのだが、いつもアメリカ出張に使用するボストンバックがアメリカ出張に出掛ける程にいろんなものを押し込みパンパンに膨らんでいる。
いったい私はどこまでいくつもりのだろうか?

準備万端、さぁっ、いよいよ出発だ!


おお~、4人部屋なのだが、なんと快適そうに区切られた空間ではありませんか。
ビジネスホテルのシングル並の広さと設備、早速着替え等をロッカーに収納し、患者用のパジャマに着替えたのであります。
それにしても素晴らしい対応の看護士の方々、至れり尽せりの介護に私は感動すら覚えたのであります。
そしてその日の夜は「ポタージュスープ」のみがだされ、それを小さなスプーンでありがたくもちびちびと腹に入れたものの、テレビCMのミスタードーナツの黒く丸い奴がどうしても頭を離れず「治ったら絶対に食ってやる」と心に決めて、なんとか就寝。
それでも部屋が落着くせいかたっぷりと熟睡、翌朝が音も無くやんわりとした光と共にやってきたのです。
いよいよ手術の日だ。

その為のこの大きな下剤がドカンとテーブルの上に。
午前の8時までには早目にこれをやっつけて腸の中をからっぽできれいにしなくてはいけない。
せっせと汗しながらもこの液体を飲み続けたのであります。
すると・・・・「来た~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!」
まるで水道の蛇口をひねったかのような肛門からの怒濤の流水。こうなったらもう止まらない。
最後の最後には、これって飲めるのか、くらいの清水に・・それはないな。
そして無事にポリープを全摘してもらったのであります。
2個だったはずのポリープは実はもうひとつ発見され、全部で3個を難無く焼き切る事に成功し、そして手術も終了したのであります。
それにしても担当のN先生の何一つ無駄のない技術はすごい、の一言でありました。
ありがとうございました。


翌早朝、東の空にはオレンジ色の明るい太陽が登り始めた。
なんだか平和でいて新しい人生の始まりのような清清しい景色だ。

「え、オバマがノーベル平和賞受賞、・・・世界の核を摘出して欲しいものだ」

まだ数日間、肛門は踏ん張れませんが、仕事は踏ん張るつもりです。



実りの秋も深まる今日この頃、皆様はどうお過ごしでしょうか。
私はと言えば日夜、世間に面白い事は転がっていないかと探索の日々でありまして、その実りと言う言葉すら忘れさっていた次第であります。
そんな腑甲斐無い私にその実りの意味を教えてくれたある屈強な植物がありました。


いかがですか、この生命力と運の良さ。
たまたまこの狭い花壇に種が飛んで来ては、たくましくもここまで育ったのでしょう。
そしてなんと、健気にも一本ながら立派な「とうもろこし」を育んでいるではありませんか。
私はこの突飛な光景にびっくりしてしまい。
ここまでくると誰かがその実をもぎ取ってしまいそうなものですが、セーフであります。



この実りの秋の夜の第二弾。
2009年栄えある「ダイコン娘」に選出されました里美さんが店を尋ねてくれました。
そのたくましいダイコンに、いやいや、腕にしっかりとダイコンが抱えられております。
今年も豊作だったそうですね。良かったですね。
私達はその真っ白なダイコンをたくさん頂く事が出来ました。
本当にありがとうございました。



彼女が帰った後には「秋」がしっかりと刻まれておりました。