2012年2月

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展示会の続く季節がやってきた。
多い時は一日8件とかありまして、そのひとつひとつの展示会場が都内に点在しているので移動しながらしっかりと拝見させてもらっておりまする。
そして最終新幹線に乗り込み、バタンキューと白目をむきだしながら座席にへたり込むのでありました。このウトウト倦怠感、けっして嫌いではありません。
ところがどっこい、今回はたったの3件と、余裕綽々、こんなお茶の子さいさいな事は滅多にないので、それではっと、行ってみたいところに行ってみましょうということで・・・
選んだのは「銀座」であります。
なぜか、それは以前、ポータークラッシック代表の吉田克幸さんがオープンさせたと雑誌で見た「PAWN SHOP」へ行ってみたいと思ったからであります。あまりにも有名なあの方が、若かりし頃より海外で収集したいろいろなビンテージ物が展示してあるとのこと。
これはやはり一度のぞいてみなければなりません。
そこで、かなりぶりの「銀座」であります。
たまたまぶらぶら数寄屋橋交番の前を通りかかって、ふと思い出した事がありました。
かつて、私が20歳の頃、真夜中の首都高でふいにパトカーに止められ(実は友達のファットジェイが助手席にのっていて、そのジェイのあまりの体重の重さに、私のスバルR2がヒ―ヒ―と疲労困憊、なんと時速10キロまでスピードダウン、そりゃ止められますわな)、そして免許不携帯で捕まったという難事件がありました。
当然私達は足止めをくい、始発電車が走り出すまでの数時間、ここで、この都会のオアシスである数寄屋橋交番で時を過ごさせてもらったという淡い思い出が過ります。
たしか、ひとりの若い警官にリンゴジュースをおごってもらいました。ありがとうございました。
懐かしい、あまりにも懐かしすぎる。
ただ残念な事に、以前の交番の形状とは大分様変わりしておりまして、かなりこじんまりとおしゃれに建て替えられておりました。
当時はやはり古色蒼然とした建物で、そのまわりにはわりとスペースが空いていて私の車なんかもそのへんにポンとおいてあったと記憶しております。

さあっ思い出探訪はそれくらいにしてっと、
このアドレスからするとこっち方面か、みゆき通りはこれだから、あっこっちか・・・。
有楽町駅から歩くことやく10分。

「おおっあったあった、ここだ」
私の目指すところ(インターナショナル・アーケード)が・・・。
なっなんだ、この大昭和な究極のノスタルジアは・・・・私はしばし茫然とこの心安らぐ景観を眺めてしまいました。そしてしばらくのあいだこの場にたたずんでしまったのでありました。

銀座にはやはり何かある、何か人の心をググッと捕える何かが根付いている。
私はそう確信したのでありました。

つづく
「チーズハンバーグだったら十和田にすんごくうまいところがあるよ」
ソールブランチカフェへと久しぶりに出向いたときに、カウンターの向こう側でみつえさんが言った。
「私のなかではいまのところあそこのチーズハンバーグが一番だね、それにその内装なんかがレトロですごくかっこいいの、いまどきあの雰囲気をもった店ってなかなかないだろうね」
みつえさんがそう付け加えた後に、隣にいた拓ちゃんが口を開いた。
「そこ、俺がガキの頃から通っていたところで、よく家族で行ってたもんですよ。まさに「昭和の喫茶店」ていった感じ。マスターは今でも蝶ネクタイしてるんですよ」

ハンバーグ好きの私にとっては何よりの情報でありますし、そしてまた、その「昭和の喫茶店」というとても懐古的な響きに興味津津こころ鷲掴み。
なんと幸運な事に、翌日、たまたま休日であった私は、計り知れない妄想のデミグラスソースの渦の中に飲み込まれそうになりながらも、のこのこと出かけて行ったのであります。

喫茶店「イッシン」
聞いたとおり、ルート45を十和田市から五戸町方面に向かって行った途中にありました。

うーん、すばらしい!
拓ちゃん達の言っている意味がわかる。
店内、なんだかきちんとしている。格調が高い。備品はていねいに長年使いこまれている。落ち着く。
私はその使いこまれた歴史的メニューをおもむろに開き、そしてそれを注文したのです。

ジャジャ―ン!
でたーっ、なんとうまそうなチーズハンバーグではありませんか。
チェダーチーズの濃い黄色みとデミグラスソースのこげ茶の淡い融合が私の網膜を釘づけにし、またその融合物が鉄板のうえで焦げ付いた魅惑臭が食欲をそそる。もう待てない、いっただきまーす!

いやーうまかった。久々にこんだけうまいハンバーグを食ったような気がする。
まんぞくまんぞく大まんぞく。


翌週、私は性懲りもなく、またまた伺ったのであります。しかも今回は「Lサイズ」300gを注文。
年甲斐もなく、未だにハンバーグに目がない私なのでありました。

が、しかし、やはり、私ごときには200gが妥当でありましたとさ。
あの後、気落ちしきった私は買ったスキー上達本を隅から隅まで読みたおし、そしてまた、付属のDVDを瞼を閉じるのも忘れて見入ったのであります。
しかも通しで2回。
基本的なことは、やはり、なんとなく、解かる。
そして気が付いたのです。あまり深く考えない方がいいことを・・・。
あれこれと考えずに、幼いころに身に付いていただろう感覚を駆使して思うままに滑る。それが一番。
そして翌週の休日、私は次なるスキー場へと向かったのです。

焼山スキー場はカラフルウエアー花盛り、山頂方面はかなり混んでおりました。
私は例のDVDのイメージをそのままに、その頂上から雑念を捨てて一気に滑り降りたのであります。
なんとなく、ナイスフィーリング!
そういえば私、まあ、はなっから本格的なアルペン選手ではありませんでしたから、まあ、それくらいのもんです。なにも悩むことはありませんでしたね。まったく!
アフターは、以前から耳にしていた食堂「上高地」、ここのバラ焼きがうまいらしい情報ゲット。

ありましたありました。
スキー場から一本温泉街に入った細い通り。
いつもは店内混み合っているとの話でありましたが、本日中途半端な時間帯なのでしょう、ゆったりとチェックイン。

早速にその看板メニューを注文。

いい具合に焼けてきております。
とかした生卵にその香ばしく焼きあがった牛肉と玉ねぎをさらりと浸してぱっくりこん、ごはんもりもり、こりゃうまい。
こちらも滑り同様、一気に完食、ごちそうさまでした。
このあと、初めて伺った私ごときに食後のコーヒーを入れてくれて感謝感激、そしてそのわずかなまどろみの時間、この店の生い立ちを覗った次第です。それぞれの店にはそれぞれの歴史あり、と言ったところですね。

次回はスキーよりもこちらがメインになりそうな予感、であります。