2011年10月

4




「ハ-ーーーーーーーーーイ、みんな元気!」

またまたあいつがやって来た。
朝っぱらから元気だ。
しかもカミが短くなっている、いつの間にかまたイメチェンか。
確か前回会った時は「ニューヨークじゃ今こんな床屋カットが流行ってるんだぜ」と言っては刈り上げクンみたいな頭をしていたのだが、今日はなんだか爽やかになっているではないか。
また、以前なくしたと言っていた「地球を救う道具の説明書」は見付かったのだろうか?
どっちにしろ、なんだか得体の知れない行動に、微妙な危険を感じるのは私だけか・・・・・。
「あっ、これはこれはお早うございます」
私は取り合えず当り障りの無い挨拶で流した。



「さあっ、どれどれ、もうひとっ走りしてこようかな。お前らもしっかりとがんばれよ地球の為に。」
大事なドラム缶の上で、奴はストレッチを始めた。


「この俺様には、明るい明日が未来が見えているのさ、そこに向ってちょっと行って来るよ、じゃあなみんな、また会おう!」

そう言うと、くるりと背を向け、元気に走り去ったのでありました。
石黒健に似てるなーって、ぼんやりと思った、寝起きは目が霞む私なのでありました。

「さあっ店開けよーっと!」


空高く澄んだ空気が寒冷前線と共にやってくる晩秋を迎えると、当然のごとく展示会出張の時期がまたまたやってくる。
9月後半から11月の前半くらいまでは毎週続くショートトリップとなる。
今回は中目黒のショールームでの商談が一件入っていたのと、そこでの商談が思いのほか早めに終了したので、この側で秘密基地を所有するある人物を訪ねてみようと思い立ったのだ。
わざわざ訪ねて行く訳だから手みやげのひとつでもと考え、私は駅なかでシュークリームを買ったのであるが・・・・この時、あまりにも私自身が腹ぺこであり、途中、やむなくパクり、私の胃の中に収まったのであります。
この事は無かった事にしておきましょう。


確か・・・このあたりのはずだが・・・。

ああっここだここだ!
ここがやつの、タフネスKの隠れ家に間違い無い!
私はそこにある特注であろう鉄製の重いトビラをおそるおそるあけたのであります。


ジャジャーーーーーン!
突然のやつの笑顔がそこに、私は思わず後ずさり、何も知らないだろうやつに向ってあやまったのであります。
「おおっすまんすまん、みやげのケーキ食っちゃったよ」って。
何のことやら皆見当もつかないやつは、そんな事はおかまいなしに、ガッハッハーとただただ笑っておりました。
相変わらず、であります。

彼の名は「Kazufumi Otaka」、「doll」のデザイナーであります。
洋服を作り始めてかれこれ数年が経過、いまやショールームを構える立派なメーカーとしての地位を確立しつつあります。

もちろん彼のデザインした洋服は店でもおかせてもらっているのですが、熱烈なファンの方々がいて、非凡な才能を垣間見る事ができます。
ただ、この軽い笑顔と間のあくジョークには品のかけらも無いのがたまにキズ、であります。

それにしても久し振りに会った様な気がします。元気でなによりです。
そしておっさんと化した私もなんだか元気をもらった様なもらわない様な不思議な浮遊感で胸がいっぱいであります。

また寄りますよ、頑張れ!タフネスK!・・・もし我慢出来たら、次回はケーキもっていけるでしょう!
ここのところうんざりするくらい休日は雨にたたられ、何処にトリップする事も無くぼんやりといち日を過す事が続いた。
これはなかなかつらい所だ。そこで私はガレージに佇むバイクにまたがり、ひとり、うつろな目の前に広がる幻想の世界へと突き進むのでありました。
ブーンブーン・・・・・・・・・?・・・・・まいっか!

先日、やっと晴れ上がった空の元、私は行く先を決めずにふらりバイクを走らせたのであります。
交差点事、あっちに行こうかこっちに行こうかとそのつど決めながらブンブンブン、しばらくするとその交差点もいつのまにかなくなり山岳地帯へと向う事に。
いったいここはどこなのだろう?
私は今、何処を走っているのか解らなくなってしまっていたのです。今までに見た事もない風景があたり一面を支配し、私は得体の知れない孤独感に包まれつつありました。
もしかして・・・道に・・・迷った?
私はその不安を打ち消すように無我夢中でその山中を走り続けたのです。
そして、道に迷った私が辿り着いた先は、なんと「迷ケ平」だったのでありました。
「そりゃあ迷うはな!」








もう、すっかりと晩秋ですね。
「美しい紅葉」、とまではまだいきませんが、ところどころ木々が色づき始めていて冬が近い事を物語っております。
澄んだ空気は冷気と化し、私に、バイクに乗る時はそろそろタイツでもはけよ、と語っているようです。
現に、私の下半身は寒さで感覚が半減・・・・いやっ、それは年のせいか?・・・いやいや、絶対寒さのせいに間違いありません。
がしかし、このさすような冷気のせいで、バイクの調子はかなり上向き、軽快なライディングを楽しむ事に成功したのであります。
ハークション!
自宅に帰り着いてから直ぐに、あったかい風呂に浸かったのは言うまでもありませんけどね!


OMAKE

パソコンを開けたら「あらた」と「あさひ」の最新映像が届いておりました。
こいつら、絶対ワルになるな、なーんて思った、最近増々物忘れがひどくなった私なのでありました。

(明日の朝8時30分からの「はなまるマーケット」見て下さい!)

HIROSHI.KOBAYASHIより、たったこれだけの、不信なメールが届いた。
いつもの事なのだが、彼のメールはある意味端的で、しかも意味不明な事が多い。
またまた、何だよいったい「はなまるマーケット」って・・・。
かつて私はその「はなまるマーケット」なる存在すら知らない無知蒙昧な長男坊であり、現在に至っても、いったいその空間には何があるのか想像する事さえ不可能な心的飽和状態にあるのであります。

翌朝、8時30分。
私は言われた通りに白いブリーフ一丁でテレビの前に正座し、そして何が起きるのかいたずらに考えを巡らしながら、その時を待ったのであります。

番組が始ったが、未だ半分程眠っているだろう私の脳は、今テレビの中でいったい何が語られているのか全く理解出来ない状態にあり、一度立ち上がり、体内活性化の為に水を飲みに行ったのです。
それによってやや視覚がクリアーになり、再びテレビの前に正座。
それでもやはり私には難解な流れが続き、どうしようか、また寝ようか、などと気弱にあきらめかけた時に「事件」が勃発したのであります。


「ん、小林健二、健二君、あの健二君・・・おおーっ、健二君じゃないかっー」
私の盆暗な脳がはっきりと健二君を認識したのであります。
しかもかの有名な「宇津井健」氏と共演、素晴らしい事件ではありませんか。
あまりに驚いてしまった私は膝立ちの中腰のまま、そのテレビ画面に釘付けになってしまったのであります。




「宇津井健」氏の肩幅もさることながら、健二君の景色盆栽の素晴らしい事、随分とまた腕を上げたものです。そして立派になったものです。
白いブリーフの上に一筋の涙がポトリ、小さなシミを作ったのであります。

年を重ね、本当に良い笑顔になりましたね、そしてその笑顔は、著名な兄である、かのHIROSHI・KOBAYASHIの笑顔に似て来た事を実感したのであります。
ハンバーグ好きの本当に仲の良い兄弟であります。

これからもどんどんがんばって下さいませ、影ながら密かに応援しておりますよ。

宇津井健氏は神経痛? 失礼!