2009年7月

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ハンバーグを十分に堪能できた前回、実はもうひとつの目的があったのです。
ハンバーグに関して言えば、雑貨屋で買い物に夢中になっていてその流れのままに食事をしてしまい、後になって「あっそうだ、ここで食うんだった!」と思い出す展開だったのだが、こっちは違った。
以前から「あそこの場所にはぜひ行ってみたい」と常に頭の中にあったものだ。


ちょうど二戸郡一戸町を突っ切る国道4号線上。
この辺はトンネルも多い山岳地帯、この国道4号線ですら山の中腹あたりを横切る道路で、その片側は谷になっている。
その深い谷の向こう側にそびえる山懐にちょこんと存在する「懐かしの小学校」らしいオレンジ屋根の建物。
活動しているのか?活動していないのか?ここからは確認できず、行こうにもどこから行けば良いのか皆目見当がつかず、車での時は到底無理とあきらめていたのでした。
しかし・・・今回はバイク。
早速軽快にこの辺だろうとあたりをつけた細道に入たのでした。


おお~思った通り小学校だ。
う~ん、だが、やはり思った通り廃校のようだ、環境の良い所なのに残念!
平屋の校舎といい、うま飛び用のカラフルなタイヤといい、絵に書いた様な昔の小学校だ。
この学校に通ってはいないが郷愁をさそう懐かしさが込み上げてくる。
きっとあの奥のひと回り大きな建物が体育館なのだろう。


時計は(2:07)。
この時間は何をさしているのだろう、知りたいような知りたく無いような。この時計のみが知る事。
玄関は凛々しく直立しなんの乱れも無い、堅固でゆるぎのないさまだ。


連なる鉄棒の残骸。
これではもう使えそうにない。時はこうやってあらゆるのものを壊していく。
風化の中に時代の流れが垣間見える。
昨年の9月にアップしていた「平内町の浜辺の小学校」は今月解体されていた。

どうやらホッコリとする景色は徐々に姿を消していく運命のようだ。
・・・・跡形もなく・・・・。


生活雑貨などを買う時たまに盛岡に出かける。
頻繁にとまでは言えないが、それでも3~4ヶ月に一回くらいのペースかな。
そのほとんどが車での移動だ。なぜなら買ったものを積んで来なくてはいけないから。
しかしこの季節、やはりバイクでの移動が心地良い。

そこで今回は雑貨の購入ではなく、食のためだけにバイクで向ったのでした。
と言うのも、盛岡への往復時、国道4号線沿いにいつも気になる小さなレストラン喫茶がありました。
ちょうど沼宮内あたり。
「手ごねハンバーグ」と言うとても魅力的な言葉が書かれたどでかい看板が目を射る場所、そこを通るたびに心がグィッとひかれておりました。
しかし、雑貨などの買い物をした後はすっかりと忘却の彼方、空腹を満たす為にほとんど盛岡市内で食事を済ませてしまい、それから通りかかるわけで「あっそうだった、ここで食うんだった」と毎回思い起こすはめになるのでした。
だから今回はそこだけにアクセル全開ビューンと向ったのです。



あたりは閑散とした雰囲気がただようローカル地帯。
この黄色いドアがやたらと目立っていて、かなり気になる存在なのでした。
しかも「手ごねハンバーグ」と銘打ったそのそそる響き。とうとう、来る事が出来ました。
うまいまずいはともあれ、来た事で納得が行く事でしょう。



店内はかなりの混みよう。サラリーマンやカップルでいっぱいではありませんか。
しかもマンガ本の数の半端ない事。皆さん食事した後それぞれのマンガの世界にどっぷりと浸かっている様子。
私が入店した時も誰ひとりこちらを気にする人はいませんでした。
ジーッとマンガ本に夢中。



ちょっと逆光なのですが、至る所に本棚が設置され数え切れない程のストックです。
そしてこの雰囲気がなぜか妙に落着く。
また心地よいジャズが店内を優しく包み込んでおりました。



お待ちかねのハンバーグランチ、遂に登場!
う~ん、これは丁寧に作ってあるぞ。雑な感じが全く見受けられない。
どれどれと一口。う~ん・う・ま.い・ではないか!
このデミソースは得にいい。雑味がなく、うまみのみがとろけている状態。
ハンバーグ本体もタマネギなどの具材が程良く残っていて二重丸。
これは仕事の丁寧さが伝わって来る逸品だ。
思いきって来てみて良かった良かった。



アイスコーヒー付き!
歪に変型したマグに歴史を感じる。なんと、創業1976年、と言う事は今年で33年目。
ティーバードよりも10年も先輩ではありませんか。ははーっ、脱帽です。
食事後は、まったりと雰囲気を味わい、そのままビューンと家路へとついたのでした。

満足感120%でアクセル全開の私の脳裏に、ふっとあのハンバーグ好きの兄弟の笑顔が浮んではスーッと風にのり後方へと消え去っていった。
「連れて来るにはちょっと無理があるな・・・・・・・」



ここのところ山へ山へと体が向っている。

前回は天候もいまいちで、寒さのあまり急ぎ足で走破してしまった八甲田山。
結局、強い風にあおられ寒さに震え抜いて帰ってきた思いしか心に残ってはいない。
これではやはり納得がいかないと、私は、再度登山を試みたのでした。
今回はゆっくりと道程を楽しみながら歩く事ができればと思いつつ・・・。


うお~っ!
これは絶好の登山日和ではないか。早朝だというのにこの陽光のトンネルの眩しい事。
八甲田に向う林道は光に満ち満ちておりました。
この木漏れ日の渦のなかを突き進む事数十分、前回同様酸ケ湯温泉大駐車場に到着。
そのまま直ぐに登山道へと向ったのでした。
時刻は


いやいやいや、素晴らしいとしか言い様のないキラキラ放射ではありませんか。
前回の経験を踏まえてしっかりと厚着をして来た私でしたが、あまりの暑さにマウンテンパーカーを脱ぎ、数メートル進んで、次にジャージを脱ぎ、ついにはTシャツ一枚になってしまいました。
断然身軽、身も心も軽やかに進みます。


おお~っ!
大岳がくっきりと見えてきた。あれが山頂か!
良い感じだ。どれどれゆっくりと進もう。
ちなみにクイに羽を差したのは私ではありません。


山頂に到着。
360°眺望がきくではありませんか。
前回はガスって全く何も見えなかったのですが今回は最高の眺めです。
リュックからCCレモンを取り出し一口ゴクリ。
シュワーーーーーー!う~ん、実に爽快だ。今日来て本当に良かったと実感。
5分程休憩した後、下山。


避難小屋を抜け、湿地帯に入ったあたりで後ろを振り向くとこれまた大岳がクッキリ。
白い綿毛の植物とのコラボレーションに感動。(植物の名前は後で調べるつもり)
美しすぎる風景だ。


板で作られた湿地帯の歩道をしばらく歩いていると、それを発見してしまった。
いつも空を見上げては探し続けている「ハート」がそこに転がっていたではありませんか。
野に咲く葉っぱにあいた虫食いの穴。それに陽光が差し込み、ぽっかりとハートが浮んでいたのです。
雄大な山々を望みながら、こんなちっぽけな影をも発見するとは私もなかなかなものです。
さっきまでの大パノラマの感動と同等の感動が・・・。
駐車場到着。好天に恵まれ最高の山登りが出来た日だった。

せっかくの酸ケ湯温泉、考えてみれば入った事がない。
時間に余裕があったので初めて入ってみる事にした。
早速、混浴の温泉場に入ってみると、おばあちゃんが二人、先に入っておりました。
「こんにちは!」
私は元気良くあいさつをし、硫黄のきいた濁り湯にゆっくりと体を沈めたのでありました。
「ふぅ~~~いい湯だわい~~~~!」





「ラーメン屋だと最近は『マタベイ』かな!」
わざわざ青森市内からティーバードへとおみえになったお客様が言った。
どうやら青森市内は魚介ダシのラーメン戦争らしいとの事。
その本元である『まるかい』のラーメンはあまりにも有名である。
そこからの派生であることはどうやら間違いないようだ。
魚介ダシ本場の彼が「うまい!」と語る訳だから、まずい訳がない。
早速場所をお聞きし休みをもらっている月曜日にビュ~ンと向ったのです。


「おお~ここだここだ!」
なんと、私はこの日のために、愛車「KAWASAKI/TR250]を暗い倉庫から日の当たる場所へと3年振りに引っ張りだしたのでした。
しかし奴は愚痴のひとつも言う事無く私をこの地まで運んでくれたのでした。
それにしても超混み混みではありませんか。これは期待大。
「中のふと麺でお願いします」
席についた私はすぐに注文したのでした。
待つ事5分位。


「おお~美しいラーメンではありませんか」
私はネギが好きだからこのネギの量は得点が高い。
透き通る様なスープを一口、ズッズッズッズ~「うわ~うめ~」。
麺を一緒に、ズッズッズッズ~「う~ん、いいね」チャーシュー一枚をぺロリ、「う~ん、ダシがしみてて最高だ」
結局、スープまできれいに完食。
これはかなりレベルが高い。魚介ダシでこれだけのうまさは初めての経験だ。
次回は『大の細麺で』と注文しようと心に決めてこの店を後にしたのでした。


せっかく愛車を引っ張りだしたのでこのまま帰るのもなんだと思い、国道103号線にのって、再び八甲田山方面へと向ったのでした。
途中、萱野高原から八甲田山を臨むの図。前回とうって変わってきれいな稜線が浮んでいました。


そのまま道なりに向って『酸ケ湯』に到着。今日は天気が良いから登山客もわんさかおりました。


またまた道なりに進み『蔦温泉』に到着。こちらもなかなか混んでおりました。


そして全行程300キロの小さな旅も終了、八戸の港に到着したのでした。
久々のバイクでの旅は本当に気持ち良かった、事故もなくホッと一息。

来週、もう一度八甲田山に登る予定だから、またあのラーメンを食いに行こっと!