2009年6月

4


「ソロモン流」
東京ローカルのこの番組のビデオテープが送られて来た。
デッキにテープをセットしスタートボタンを押した。
その私の眼球内に、ノックもせずに飛び込んできたのは「小林健二君の勇姿」であった。

若い頃、そう、十数年前、私は気の合う相棒と一緒にショップに立っていた。
その男の名は「小林寛」、そう「健二君」の兄である。
新幹線もまだ通っていなかった頃、そんなにも遠い昔々、一度だけ「健二君」はこの兄に会う為にはるばる八戸を訪れた事があった。
この時の会話の流れから本当に兄弟仲の良さを垣間見たものだ。
この時彼等の大好物がハンバーグだと言うことも憶えた。

「これからアメリカに行くんですよ。盆栽の勉強に!」
この時「健二君」は確かにそう言っていた。..その事を鮮明に憶えている。
それが、今に、このテレビ出演に至るのか・・・・初志貫徹。
すばらしい!
私はあまりの嬉しさにそのビデオを2回続けて見てしまった。

そして「健二君」の作り出すその景色盆栽に魅了されてしまったのです。
「健二君」は現在、その「景色盆栽」の第一人者として会社を運営しています。
品品・しなじな・sinajina

私はそっとこのホームページを覗いてみたのです。
するとあるわあるわ素晴らしい作品が。まさに大自然を小さな器の中に作り上げているではありませんか。
木々の間を吹き行く風をも感じられる様相に感動!
そして注文したのです。
「ハゼ」と「アラハシラガゴケ」のコラボレーションを。



おお~ついに到着!
繊細でいて、めちゃめちゃかわいいではありませんか。
さて・・・いざ目の前にするや・・・やや不安が・・・。
私の様な無骨な男に育てられるのだろうか?
いやいや、なんとかなるさ、ハウ・トゥ・ケアを参考にすれば・・・それに丈夫だと記してあるではないか・・・しっかり見てやれば大丈夫さ。
早速、抱きかかえるようにこの手に包み込み、我が家へと向ったのでした。



玄関脇の収納棚の上、守神であるティキと一緒に並んでおります。
玄関ドアうえの小窓には直射日光避けのレースのカーテンを設置。
スタッフ・ジンの給料は忘れても、「ハゼ」の水やりと日光浴だけは忘れないよに心掛けております。大切に育てるつもりです。
これからもじっくりと素晴らしい作品を作り続けて行って欲しいものですね「健二君」には。
今度出張の時、世田谷の奥沢まで足を伸ばしてみようと思っています。


数年後、この「ハゼ」の林の木陰でごろりと一眠りしたいものですね。


えっ、二日間の連休もらえるの!
さて?それはどうしよう。
私の場合、出張が絡まない連休はそうそうあるものではない。
これは何かを成し遂げなくてはならない。
何がいいだろう・・・・・・・そうだ、八甲田山だ!八甲田山に登ろう。
松本市にあるグッドストアーの西君と9月に長野のとある名山に登る約束もしてある訳だし、前哨戦としていっちょう頑張ってみるか。
という事で急遽決行と相成った訳であります。



早朝8時に酸ケ湯温泉到着。たくさんの登山コースがあったものの、ここから仙人岱を経由して大岳(山頂)を制覇し、毛無岱を通って再び酸ケ湯温泉に戻って来るぐるり一周の絶景コースを選択したのです。
ちょっと曇っているけどさぁ行きまっせ!




おおっ!ここが登山口か。
質素な入山口のわりには立派な鳥居だ。
これから先は神域と言ったところだ。それでは神様よろしくです!
そして~あるう日~森の中~熊さんに~出会あった~なんて事のないようにお願い致しますよ。



岩沢がごろごろと、いやいや、大岩がごろごろと転がる細い道を歩き続けていると矢印が⇔こんな具合に両方を向いた看板が出現。
左右どちらから登っても最終的にひとつになるのだろうと安易にふんだ私は左側へと進む事にした。
しかしこれが大きな間違いであった。
子ブタ位の岩々が積み重なる急勾配を這いつくばって登って行くも道らしい道が全く無い。
しかも前方には背の低い植物が生い茂げっていて全てを覆っているではないか。私は後ろを振り返って見た。
それがこの図。ここまで登って来てやっと気がついた。
ここは登る所では無いのだと。「え~~~!」冷や汗が吹き出した。
谷の底を硫黄を含んだ小川が流れている。
このまま岩場の斜面を降りて行くのは危険だと感じた私は、この小川の流れる谷底まで山肌の露出した斜面をずるずると滑り降り、そこを流れる小川の部分を下っていったのでした。
硫黄で体の半分が白くなってしまった。
写真のまん中あたりにある切れ込みのなくなるあたりまでビシャビシャと歩いて下ったのでした。
ぎりぎりセーフ!



仙人岱をなんなく制覇し大岳へと迫った。このあたりはまだまだ雪が深いようだ、さすが八甲田。
山頂は雲に覆われ全く姿を表す気配すらない。
私は雪原にちょこんとさされた竹ざおをたよりに山頂を目指したのだった。



とうとう山頂を制覇。
しかし何も視界に入らず、たいした感慨も無いまま素通りするようにスルー!う~~~~~~寒い!



頂上からごつい階段をしばらく降りていくと前方にスキーのゲレンデのような雪の急勾配が出現。
スキーの名手の私は履いているダナ-ライトに命を預けてズズーと滑り降りたのでした。
爽快感は常に危険と隣り合わせにあるのだ。



花はいろいろと咲いていたのだが、今回「おっこれは!」と思ったのがこいつ。
鈴蘭の様な形の小さなピンク色の花がこんな荒れたところにひとつだけ咲いていた。
なんと健気できれいだった事か。



大岳をさらりと制覇してしばらく進むと遥か下界に湿地帯が出現。
目の前には、そこまで続くだろう下りの階段が延々と続いている。
先が見えないくらいに急だ。もしここで転がったら地獄行きは免れないだろう。
こんな事ならもっと好い行ないをしておけばよかったと後悔が過ったが、今さらだ。



地獄の入口もなんなくクリアーし、たったひとりスキップしながら前へ前へと突き進む事数時間。
なんと前方に、朝一出発した地点である酸ケ湯温泉が見えてきたではないか。
ヤッタ-!
ずっと向こうの広場に私の愛車「ハイエース」の勇姿も見えている。
いちだんと私のスキップも軽いものとなった。




午前11:07ゴール。午前8:13に出発したからトータル2時間54分かかった事になる。
だけどコース案内には所要時間4時間40分と書いてあったが・・・・。
どうやらちょっと頑張りすぎたようだ。ノンストップだったし心臓もガンガン高鳴っていたし、これは本来の登山とはやや懸け離れたものになってしまったようだ。
もう一度来ようとすぐに思った。
次回は、今回のこの無謀なペースを改善すべく、もっと基本的な登り方をふまえたうえで進まなくては・・・体の為にも。



スニーカーでもいいや、と思っていたのだが、現地に着いてからなぜか冒険用ダナーライトに履き替えた。
これは近年稀にみる大正解であった。とてもスニーカーでは無理でしょと言った所が随所にあった。
思えば台風ツーリング事件以来こいつには助けられっぱなしだ。
硫黄と泥とでよごれてしまったが帰ったらケアしてやろう。
そしてまた近い内くるぞーっ、こいつと一緒に!



「オレハのサンドイッチ食った事あります?」
得意げにジンが言った。
「いや、ないよ。ないって言うか、オレハってなに?」
私にはそのオレハが解らなかった。
  「え~~~~~っオレハ知らないっすか。だめっすよオレハ知らないと。
  オレハってオレンジハートって言うコンビニですよ。まじ、知らないっすか?
  あそこのサンドイッチ食ったら他のやつ食えないっすよ。」
そうは言うものの「オレンジハート」ってコンビニ、八戸には無いでしょ。
そこで十和田、六戸方面に存在する「オレハ」へ、十和田から通っているジンに、そのサンドイッチを買って来てもらう事にした。


なんじゃこりゃ~!
私はぶったまげた。
こんなにたくさんの具がこれでもか~と詰め込まれ、こんなにもパンパンに膨らんだサンドイッチを生まれて初めて見た。
どう見ても明らかに普通のサンドイッチの2倍から3倍の大きさ&重さはあるのだ。
その割りにこの値段の安さ。二度びっくり。


ツナマヨと玉子のハーフ&ハーフで190円。
ツナサンドや玉子サンドだけの単品はやはりこのボリュームが盛り込まれて157円。考えられない安さだ。


そいつを一口ガブリ!
うわ~うめ~!この食いごたえといい、マヨネーズの加減といい、アクセントのきゅうりといい、最高のサンドイッチだ。
しかもこのずっしりとした重さは腕が筋肉痛になってしまいそうだ。
しかし、うめ~~~~~っ!


こいつはジンのお薦めイカリングサンド。
からりと揚げたイカリングをぶつ切りにし例の玉子と和えてたっぷりとはさんである。
サンドイッチ伯爵が生きていたらここ「オレハ」に通っていたに違いない。
そんな不可解な確信が過った。
この後、おにぎりも絶品だとのジンのすすめもあり、頼んでみると、おにぎりも無添加にこだわった手作りもので、なんと素晴らしい事か。
私は久々に食物で感動した。
どちらもかなりの種類があるとのうれしい情報、これからひとつひとつ味わってみたいのもだと思っている。
だからここ最近、ランチはもっぱら「オレハ」のおにぎりとサンドイッチだ。

今度行ってみよっと!
初夏を向かえ心地よい季節がとうとうここ南部地方にもやってきた。
この頃になると「冬」の寒さや厳しさというものを完全に忘れてしまいます。
しかし、この季節になって絶対に忘れてはならないのが「手の展」。
造形作家・三浦孝之氏の新作、力作が今年もしっかりと展示されておりました。


場所はNHKハナミズキホール(6/5~6/7)。
いつもながらこの場所に足を踏み入れる瞬間はワクワクしますね。


額物は今回色使いをおさえシンプルに仕上げた感じ、丸型の物が目新しいですね。
中央付近でギターを奏でる人形の雰囲気は二重まる。廃材を利用しての創作はエコそのものでもあります。


今回私の中で一番目を引いた作品です。
細い円柱を縦に組み合わせた平面に文字を組み込んであります。
配色もカラフルでオールドアメリカンフィーリングですね。
どれかが欲しいのですが、迷っています。


前回のチェストと同等の力作です。バリ風とか何々風とか言ったものではなく、彼自身の創作家具と言えるでしょう。
出来る事なら屋根付きの広~いベランダにでもセットで置いてみたい長椅子&テーブルですね。
いつもながらの素晴らしい作品群でした。どれにしようか少し時間を掛けて考えてみたいと思っています。


ティキです。これは彼にスペシャルオーダーをして作って頂いたものです。
一刀一刀手彫りにての製作でかなり根気のいる事だったでしょう。御苦労様でした。
もちろん、現在、家の守神として活躍しています。

今度時間を作って彼の工房を尋ね、手をかけた裏庭を見てみたいと思っている所です。