2009年11月

5

ひと通り仕事も終わった・・・・う~ん、まだ2時か。
東京出張中、思ったよりもかなり時間に余裕が出来てしまった私は、ふっと思い立ったのです。
学生時代に過した下井草まで足を伸ばしてみようか・・.と。
かれこれ30年は経過している、いやもう少しか。
仕事で洋服の展示会を回るのは殆どが原宿・青山から恵比寿界隈であり、当時よく利用していた新宿方面はとんと御無沙汰なのでした。
どれどれ数十年前にタイムスリップしてみるか。
あの頃住んでいた「陵雲閣」というアパートは果たしてあるのだろうか。当時すでに築年数がある程度経っていた筈だ。


おお~懐かしい、懐かしすぎる光景だ。
夜の新宿でバイトしていて、毎日のようにこの西部新宿線の最終でよく帰ったものだ。
この駅ビルを目にするのも帰郷以来約30年振りだ。
なんにも変わってないような気がするが~壁などやや色褪せた感は否めないかな。
電車もまんまのような気がする。しかし当時よりローカル臭が漂っている感じはなんなんだろう。


おお~下井草だ。いやいや懐かしい、どうしよう!
って、どれどれ降りてみるか。


おお~駅が改築されているではないか。全く近代化されてしまっている。しかもなんと二階建てに。
私がいた頃は改札の所に小さな屋根があるだけの小さな駅舎で、そこを抜けたらすぐそこには線路が走っていたものです。
向こう側に渡るにはか細い屋根付きの歩道橋の様な通路がひとつあっただけ。
それもまたいい味を出していたものですが・・・。


駅前商店街を右側に入り真直ぐ進むとその先に「陵雲閣」はあったはずだ。
いやはや、よく覚えているものだ。この辺はあまり変わってないな~。
ただコンビニがあちらこちらに建っている。時代だね~。
どれどれ・・・確か・・・この先にあったはずだが・・・おお~~~~~~~~~!




あった~~~~~~~~~!
未だ健在で立っていた。感動的だ。
確か1970年に建築されたものだから今年で約40年の歳月が流れた計算になる。
う~~~~~んっ立派なものだ。
それにしてもこの玄関といい、表札といい、この薄暗い階段といい当時のまんまだ。
私の部屋は確か302号室だったと思う。毎日この階段を登ったり降りたりしたのが、まるで昨日のように感じられる程リアルな雰囲気を漂わせている。
「ケンザ~~~~イ、バンザ~~~~イ!」
この後、いつも通っていた銭湯へと足を伸ばしてみたのだが、時代の波には勝てなかったのだろう跡方も無く消え去っていた。淋しいものです。
定食屋のおばちゃんや本屋のおじちゃんは・・・などとも思ったのですが・・・行くのは止めときました。


この通りがメインだと思っていたのですが風の流れが静かな様です。
「お父さん、大丈夫、バスはもうすぐですよ!」


交番はきれいになっていました。
当時お金に困った時に助けて頂いた事を思い出します。
あの緊急援助が無ければ私は今こうして真っ当な人生を歩んでいなかったかも知れませんね。
あの時は本当にありがとうございました。

さて、そろそろ時間だ。帰らなければならない。
もし、この先、このような自由時間が出来たとしたら再びここを訪れてみたいものだ。
そしてその時こそは、大好物だった「生姜焼定食」をたのもうと思っている。
おばちゃんの笑顔は、そこにないのかもしれないけれど.....。

「ええっ、3杯注文して3杯食べて来ました」

常連で食通のお客様がそんな突飛で不可解な事を言い放った。

「えっ、3杯って、ラーメン3杯いっきに注文してそれをいっきに食って来たって事」

「はい、そうです」

そうですって・・・私はすっかりと驚いてしまった。

「塩ラーメン・醤油ラーメンそしてチャーシューメンです。そこって塩ラーメンがかなり有名なんですけど、せっかく来たのでひととおり食べてみようと思って・・・・」

ひととおりって・・・すご過ぎる。

場所を聞くと七戸町だと言う。
しかもその詳しい住所と名前を聞くと何だか私の知り合いのような・・・・
と言うのもそのあたりにはかつて私の祖母の家があり幼い私は数年間ではあったがその祖母の家で育った。
確かに「高山さん」と言っていた。
もしかして「あっちゃん」ち?
そうだ、そこに住んでいた小学校の中学年あたりまで、毎日のように「あっちゃん」と遊んでいたものだ。
その妹が「なおちゃん」で一番下の弟が「かっちゃん?」。
当時、テレビ番組では「ケンちゃんチャコちゃん」が流行っていて、「かっちゃん?」は「ケンちゃん」のイメージがあったことを今でも覚えている。
ただ、今「かっちゃん?」と言っているのだが、名前はそれであっているのだろうか?
記憶にやや不安が過る。そうだ、(仮)としておこう。

次の休みにでも早速行ってみようかな。


あっここだここだ。
やっぱりそうだ。あっちゃんちだ、が、当時は洋服屋だったと思ったが・・・・。
それに、みんな「ラーメンの高山」と呼ぶのだが「ラーメン徳」ではないか・・・・。
なんだか情報が噛み合わない感じだが、せっかくだから入ってみよう。


そうであった。
やっぱりそうであった。あっちゃんちであった。お母さんの顔にぴんときた。
幼い頃にたくさん遊んでもらったお母さんなのでありました。
いや~懐かしくて懐かしくて、その空気感がなんだか心地よいものです。
店は「(仮)かっちゃん」の嫁さんとお母さんとで切り盛りしている様子。
そこにはお母さんの孫にあたる男の子もおりました。(名前を聞くのを忘れてしまった)

あったかい家族の雰囲気がほんわかと漂って来ませんか。


これが噂の「塩ラーメン」です。

スープを、ずずずず~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!

う~~~~ん・うまい!

さすが青森県ラーメンランキングで上位に入っているだけの事はある。
丹念にふつふつと時間を掛けて仕込んだと思われるスープは奥行きのある各素材のうまさをグッと引き出している。
手間を惜しまずこしらえた「温かさ」が伝わってくる。
この時、偶然にも「(仮)かっちゃん」が店内に姿を表した。
「お~小さい頃の面影あるね~~~~~~!」
「うわぁ~~~~懐かしいね~~~~!」

こんな会話が店中にこだまし、和やかな時間が立ち上る湯気と共にゆっくりと流れた。

久し振りに足を伸ばしてみて良かった、と、ひとり悦に入る。
しかしながら私はいつも何かを忘れる癖がある。
何かに熱中すると他の何かが全て何処かに飛んで行ってしまう。最近増々ひどくなる傾向にある。
「(仮)かっちゃん」の名前を確認してくるのを忘れていた。
だけどそんなに焦る事も無いだろう、忘れた事を気付いただけでも良しとしよう。
まだまだ時間はいくらでもある。
そのうち・・・・今度は自家製チャーシューのたっぷりと載った「チャーシューメン」を食べながらでも「(仮)かっちゃん」の事を確かめてみよう!


出張だ、マフラー交換だ、誰かの交通違反だ、今日の昼飯は何だ、とパタパタしているうちにすっかりと秋は深まっていた。
10月半ばに紅葉にでもと思っていたのだが思うように時間が取れずに断念。
ところが先日ぽっかりと休みが取れて、それではと八甲田方面へと足を伸ばしたのでした。


今回は青森市内にも寄る所(ラーメン屋巡り)があったので「みちのく有料道路」を使用。
あたりの木々は既に紅葉と言った感はとうに過ぎ去り、さらに深い色合いへと変化が進んでいた。


ラーメンをすすり、その他市内での用事を済ませた私は、せっかくなので八甲田を越えて蔦温泉を目指したのです。
ちなみに道路脇に立つ鉄塔の先にある矢印は豪雪のさいに隠れてしまう道路のアウトラインを示しています。
あの辺の高さまで数メートルもの雪がこのあたりでは積もるのかもね。


夏に見た萌える緑のトンネルはさっぱりと消え失せ、若干の淋しさが漂う景観だ。
この辺に住む熊達はもう寝てしまったのかもしれない、などど勝手に頭に浮んだ。


11月の半ばだと言うのに蔦温泉は団体の泊まり客でごった返してた。
幸い私が入浴中には誰ひとり浴場に入って来る者も無くのんびりとゆったりと出来た次第です。


帰り道小さな売店で買ったリンゴジュース。
う~ん、デリーシャス!

さぁ~て、風呂も満喫出来たし休日の〆に、しんちゃん(おきな)とこ行って蕎麦でも食うかな!
レッツラ・ゴーーーーーーー!



ジョークか、えっ、ジョークじゃない。
なになに・・・ジョークじゃなかったら今度は何で捕まったんだ。
「携帯で・・・」
「なんと、また携帯で捕まったのか、バッカじゃね~の」
「いやいや、それはジョークです」
って、あまりにも情けない、あまりにも力のないジョーク言ってんじゃねーよ。


ジャジャーンと2枚の輝かしい違反キップ。
隣で皮ジャンのおじさんがニヒルに笑っている。ジンはそんなに笑えない。


お~違反金もグッグッと倍増だ。なんか2枚もあると壮観だ。


どうやらこの黒いマフラーで捕まったらしい。
奴のは直管だからな~止められたらもうどうしようもない。
私の可憐なマフラーと違って品が無いと言うか・・・・。
それにしても昨日の今日だからな~。


そしてジンと一緒にいっせい検挙された懲りない面々。
みんないい顔してるね~捕まっても実に前向きな人達だ。
これからもその笑顔を忘れないでバンバンかっ飛ばしてくれよ・・・マフラー変えて!


反省!




マフラーをシガーに変えた。
最近グッグッと寒くなったので温ったかホッカホカでフッカフカのやつに・・・・・・
って、違うだろ!
と、ひとり突っ込みもよろしいようで。


かなり全体的にスリムにまとまった。
エンジンからの流れる様な艶かしい曲線が美しい。そしてきりの良い適度な長さ。
カタログで見て一目で気に入ってしまい早々購入し装着したのだが、かなりのグッドフィーリング。
そのサウンドは直管をまろやかに上品にした感覚で心地よい張り具合。
乗っていて下っ腹に感じる重低音は全身を突き上げながらも軽やかなリズムを奏でハンドルを握る両腕へと伝わって来る。


消音機の部分がシガーたる由縁だ。
シンプルで美しい形状だ。


スッキリと車体全体が細くなりシャープな印象に。
写真は躍動的にややブレをプラス。
さあーまだまだ乗るぞ~!


おっ何だこれは?
あれあれジンのやつだ。あいつまた捕まったのだな。今度は何で捕まったんだろう。
そうか、携帯電話か、これまた微妙な違反だな。
しかし免許の更新時の講習はまた違反者講習だなあいつ。あれって長いんだよな~!

おっジンが来た来た。
「おい、お前また捕まったのか。しかも携帯で」
「そうなんすよ。まいったっすよ。しかも白バイにっすよ。
俺は見てね~つっても(私は君が見たのを見た)の一点張りなんすよ。まるで引かないの。
時間も無いし折れましたよ。まったくついてね~」

そう言いながら奴はまた携帯電話をちらりと見た。
癖か・・・・