2010年6月

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近頃、「ダイ」は店に来ている。
と言うのも、今月で、なっなっなんと16才。
ゴールデンにしてはかなりの高齢になってしまい、やや足腰が弱くなってしまった。
特に後足がふらつき介助なしではまともに歩く事が出来ず、オシッコに行くのもままならない状態。
そこで毎日店に出勤と相成った訳であります。


ティービータイムスのカウンターエリア内。
彼のくつろぎスペースが設置され、まるで昼のワイドショ-でも見ている定年後のおっさんのようなゆったり感。
こうやっていると本当は軽々と歩けるんじゃないの、な~んて思われる程健康体に見えてしまいます。
演技かな・・・?


A2Cの嫁、身重のサラサが遊びに来てくれました。
「おう、サラサ、素っピンか?いやいや元気か?俺なんか元気すぎて毎日体中かゆくてしょうがねー。ちょっと咽のあたりを掻いてくんねーかな」
「なに偉そうに言ってんのジジイのくせに、しょうがないな~この辺かい、ポリポリポリ」
「おお~うまいなサラサ、そうそう、その指の感じなかなかええで~」
「ええで~って、お前いつから関西犬やねん、ハッハッハッハッハーーーーてが」


そろそろオシッコタイムに・・・。
「おねえちゃん達大袈裟だな~そんなにみんなでついて来て、全く邪魔でしょうがないな、おいおいジン、お前はしっかりと俺様の腰を支えとけよ、へらへら笑ってんじゃねーぞ、って、お前、顔が半分しか映ってね~ぞ、残念な奴だ」


「ふぅ~さっぱりした。オシッコのきれもまだまだ若いもんにはまけね~ぞっと」


「おいおいオヤジ、俺の事大事に扱えよ、そんでしっかりと運んでくれよ。だけどそんなへっぴり腰じゃまだまだ修行が足りないな。ぐっと腕にも力を込めて、そうそう、やれば出来るじゃね~か。その調子その調子!落っことすんじゃね~ぞ」


「へっへっへっへ~そんな我がままな俺だけど、まだまだ長生きするよ。みなさん、これからもよろしく!お~いジン、この帽子調子いいじゃね~か、俺にくれよ!お前よりは確実に似合ってるから」
前々回、せっかく時間を掛けて地上へと姿を現したのに、無惨にもたちまちのうちに足蹴にされ、茎からぼろぼろにされてしまった「名も無き草」を記憶している事でしょう。
数週間経った今頃「そう言えば・・・あれからあいつはどうなったかな~」などと私の旺盛な好奇心がメラメラと、まるで「浦見魔太郎」の怨念の炎の様に沸き上がったのであります。
そこで、早速デジカメを片手に殺草未遂事件現場へと駆け付けたのであります。

う~ん、私の記憶が正しければ確かこのあたりだったと思うのだが・・・・。
このあたりには小学校があり、しかもこの歩道は皆さんの通学路、そんな60年代のベトナムよりも危険な場所に存在するにはかなりの困難を伴う訳で、毎日がハラハラドキドキの連続の筈。
こちらからは手も足も出せない訳だから、じっと嵐が無事に過ぎ去るのを待つしか手段が無いのだ。

えっ・・・もしかしてお前?
私は目を疑った。あの無惨な姿からは想像もつかない程に回復している。
また、この数週間、何回も襲って来ただろう小さなスニーカー達ののランダムな攻撃をことごとくかわしてのこの勇姿。お涙ものだ。

それにしてもしっかりと回復したものだ。
あの時の惨劇がまるで嘘のように元気いっぱいに葉をひろげている。
ところで何と言う葉っぱなのだろう?って、そんな野暮な事は言いっこ無しにしよう。
どうせ樹木の名前すらろくに解らないんだから・・・。

「せっかくこの世に生まれたのだから、とことん生きて下さいませ」

名前はあるんだろうけど名も無き草へ、世間的に名も無きおっさんより!
ここのところ晴天が続く。
日誌を読み返すと、なんと18日間ものロングロングピー!
ここまで晴天が続くのはなかなか記憶にはない。

しかし、休日にはバイクでトコトコとあちこち出掛ける私にとっては絶好の天気コンディション。
ナイスなひとときを天から頂いているのであります。
そして近頃、友人などのアドバイスもあり、「農道」をひた走っております。
「農道」、そう、農業人が農業に従事しやすいように設けられた道路。
山野地区に多く設けられており、これがまた風光明美な上にアスファルトがきれい、また見渡す限り真直ぐに伸びていたり、なだらかなカーブが続いていたりと変化にも富んでいるのです。
そしてなによりも一番なのは、信号が全く無いのと他の車などがほとんど走っていない事、まるで自分だけの道路のよう。


八甲田へと向う途中、八戸から十和田湖方面へと向う「農道」
ここは比較的こんな真直ぐな道が開けていて、国道45号線上にある数々の町を通らずに「焼山」あたりまで信号機に会わずに進む事ができます。

そしてそのまま「萱野高原」まで走行し、パシャリ!
ナイスピーカンのおかげでナイスビューをゲット。



こちらは、民話の古里「大野村」へと向う「農道」
こんな見通しの良いところもあるのだが、途中山越えがあり高低差と急カーブが続くところもあり、これもまたトコトコと走る分には面白いのです。


「大野村・道の駅」
奥にはレストランや温泉をはじめ、たくさんの施設が充実していてちょいと寄るにしても良い所だ。
きれいな花と共にパシャリ!


「本日お薦めの行者にんにくラーメンですけど、いかがですか~」
シャキシャキと機敏に立ち働くキュートな彼女の直球勝負。
「あっ、じゃあ、それで」
勢いに押され言われるままにそのラーメンをズッズッズ~~~~~~~!
「ぴりりと辛味のきいたスープに深いコクがある。さすが、おね~ちゃんがすすめるだけの事はあるな~」

こんなんで、休日あちこち走り回っているおかげで、かなり日に焼けてしまった。
走行中にサングラスをしているせいもあり、まるで「逆パンダ」風に目のまわり以外が真っ黒。
これはアスリートの様にも見えますが、残念ながら私服ではかなりのまぬけ顔。
伊達メガネが離せなくなった今日この頃なのでありました。



思えば・・・初めて「東京タワー」に登ったのは中学3年の修学旅行の時だった。
その時の印象なんてちっともない。ただここに来たと言うだけの微かな記憶。
なぜなら当時の私は無知で脳天気でふらちなガキにすぎなかったからなのであります。
もちろん現在に至って、その全てが改善している訳ではありませんが・・少しは・・。

その「東京タワー」の存在を再確認できたのは、昭和を描いた映画「オールウェイズ・三丁目の夕日」を見た時だった。
おお~この頃建ったのか、これはすごい、な~んて思いながらも時が経てば再び忘却の彼方。
ところが最近、スカイツリーなる新たなタワーが建築中とのこと、それなら、ぜひそれを「東京タワー」から見てみたい、な~んて思ったのであります。



「わぁ~東京タワーだ、すげ~!」
何がすごいのかハッキリとはしないまでも自然と口からもれた素直な言葉。
なんと、37年振りの感動的「東京タワー」であります。
この超絶なる存在感、これこそすばらしいの一言に尽きます。



展望台は修学旅行生に外国人、その他大勢の老若男女でごった返しておりました。
やはり高い高い。
どれどれあちこち覗いて見ようかな。



おお~あれは、「レインボーブリッジ」に「フジテレビ」じゃないか。
ここから見ると何処もそこもかなり近い感じがする。



あれか~あれがうわさの「スカイツリー」か。
今はまだほんの小さなマッチ棒のようにしか見えないけど、もうすぐ大きな存在感を示す建築物になるんだろうな。
完成時はぜひあのスカイツリーの展望台フロアーからこの「東京タワー」の美しいAラインを見てみたいものだ。



展望台の下段へと降りると、きれいなお姉さんがガラスの上で「ハイ・ポーズ」
まぁいいか、撮っちゃえと言う事で、私もパシャリ!
「あ・ざ・す!」(MOJ・大地風)
まさかこんな日本のブログに登場しているとは思わないだろうな~彼女。

まだまだ時間に余裕のあった私はレストランフロアーへと移動。



新メニューとして紹介されていた「トマトのドライカレー」をぱくり。
なかなか本格的で刺激的なカレーではありませんか。
「う~ん、満足満足、ごちそうさまでした」

それでもまだまだ時間はたっぷりとある。
すると私の目の前に、ある画伯の描くすばらしい似顔絵の数々が飛び込んできたのであります。
「これはぜひ描いてもらわなくては・・・時間もあるし」



ジャジャ~ン、完成!
いやはや、ハンサム度5割増しの素晴らしい作品が出来上ったではありませんか。
「先生、気を使って下さってどうもありがとうございました。」
その為の割増し料金も加算される事なく良心的なタイムサービス料金でセーフ。

ずいぶんと楽しい時間をここ「東京タワー」で過させてもらった・・・出張のような、旅のような、ちょっと近所を散歩しているような、何ともいえない妙な気分だ。

「おっとと、もうこんな時間だ、そろそろ帰らなくてはいけない」

仕事・・・・・まぁいっか・・たまには・・!
草木が勢い良く芽吹き、一面緑に萌え上がる原野。
そんな生命達の熱い息吹を一身に感じながら、飽きもせずに私は今も走り続けている。
(こんなに続くとは全く思ってもいなかったのですが・・・・。)



早朝のいつものコースの一端。
このあたりは歩くよりもちょっとだけ速い、慣らし段階で通る所。そんなんだから回りが良く見える。
アスファルトで鋪装されたこの歩道の数メートル前方に何やら盛り上がり黒く変色した部分が目に入った。
「なんだこれ、昨日までは何もなかったのに・・・」



「えーーーーーっ、お前ってやつは・・・・すごい、すごすぎるじゃないか!」



こんなにも分厚いアスファルトの壁をぶち破ってこの地表へと姿を表すとは見上げたものだ。
数年前にはど根性ダイコンがかなり有名になって町起こしに一役買っていた事が脳裏を過った。
思うに、多分だが、この芽の種はこのアスファルトがしかれる以前にこの地中にあったに違い無い。
このアスファルトは最近しかれたものでは無いし、私の記憶では数年経過しているはず。
と言う事は数年間発芽の時期を待ちに待っての今回登場と言う事になる。
ちょっとづつちょっとづつ、押し上げ押し上げし、やっとのことで自由という翼を手にいれたのだ。
素晴らしい、生命の神秘ではないか。思わず感動の嵐!

「しかし、お前はいったい何者なのだ。まだ、この状態では何者なのかが全くわからない。」

そこで成長を待ってみる事にした。

1週間後、再びその奇跡の場所へと足を運んだ。



「あれっ何処だったかな~あの辺かな~」

なんだかそれらしいものが見当たらない。1週間もあればそれなりに成長していてもおかしくないのだが・・・・・・どうしたのだろう。
一歩一歩そのあたりと思われる所に近付いてみた。

「え==========っ、もしかして、これって、お前なの!」



「無邪気に蹴られてしまったか」

あまりにも、あまりにも無情な世の中ではないか。

いや、これが日常であり極めて「普通」の事なのかもしれない。

「奴はいったい何者だったのだろう?」

根性があれば、そして運が良ければ、ここからまたグッとくるかもしれないね!