早春にて

空の青さもいちだんと濃さをましつつある今日この頃。
その温暖な陽気に誘われ、そろそろ気分転換も兼ねてバイクで出掛けてみようと思いたち、早朝から八甲田方面へと向った行き当たりばったりの私なのでありました。
幹線道路沿いところどころに高くそびえ立つ寒暖計のデジタル温度表示は18℃、なかなか快適な気温でまったく寒さを感じる事もなくビュンビュンビュン・・・・・。
ひとけりふたけり前へ前へ進もうとふんばるエンジン音が心地よい。

こちらに向うたびによらせてもらうラーメン屋で並盛りを一杯、空の胃に流し込む。

「さあっ、腹もいっぱいになったしさらりと山でも越えるか・・」

軽いウインドブレーカーをハタハタとはためかせては再び路上の人となる。



私は完全に舐めておりました。
ここが本州最北端であることをどうやらすっかりと忘れ去っていた様です。
ただ、ひとつの救いとしては肝心の道路に雪が残ってはいなかった、と言う事です。



下山路も立派な雪の壁がそびえていますね。
非情にも私に向って来る突風は冷気をたっぷりと含んだままに体当たりして来る始末。
薄手のウインドブレーカー一枚ではまだまだ私のひ弱な心臓には良く無いようです。

身体も冷え込んだので、途中温泉でも、なーんてとんまな事が脳裏を過ったのですが、車ならともかく、バイクではな・・・と、正常な考えを持てるまでに脳が回復しだして、なんとか無事に下山する事に成功できた、スニーカーの足元の感覚が麻痺してしまっている私なのでありました。