偶然の妙

近頃はS/Sの展示会が頻繁に行なわれている。
場所はやはり都内が多い。
代々木上原や都立大など、やや郊外で離れた所ではないかぎり、千駄ヶ谷から原宿、原宿から青山界隈を過ぎて渋谷、その渋谷から代官山を通って恵比寿と、この一連の流れくらいだとほとんど歩く。
歩いて回った方が時間短縮になる。多い時はそれこそ8ケ所から10ケ所になる時もある。過酷なサバイバルなのである。


あるメーカーさんに寄ると懐かしい、見知った顔があった。
長野県は松本市の「グッドストア」西浦君。
昨年松本市に遊びに行った時以来だからかれこれ1年振りになる。相変わらずイイ男ではないか。
松本のみんなは元気でやっているのか、懐かしくひとりひとりの顔が浮ぶ。
「ところで君のボスは元気でやってんの?」
私は彼の上司について聞いてみた。
「そう言えば、最近・・ここ1ヵ月見てないすね・・何やってんだろ、いつも」
彼はそんな不可解な事を言っていた。
そうか、きっとあれだろう、どっぷりとはまっているあれに決まっている。
そろそろ70は切ったのかな。切っただろうな、これだけやっていれば切っていない訳がないもんな。切っていなければおかしいもんな。

西浦君と別れ、私は恵比寿に向う為に渋谷駅へと向った。今回はその中間に仕事がなかったので山手線で向う事にした。
相変わらずの人込みの中をくぐりぬけながらホームへと到達。
そのままホームへと滑り込んできた電車に乗った。
込んでいる時は私は扉の脇に陣どる。さっとその扉の脇へと乗り込んで一息。
その後も次から次へと乗客が乗り込んで来る。その中のひとりに何処かで見た顔があった。
まさか?と思ったがどう見ても奴だ。
今年のお盆に八戸に里帰りして新しい家族と一緒に店に寄ってくれた「山ちゃん」だ。(8/17のブログ参照)
私は、この場を過ぎ去ろうとしている彼に大きな声で呼び掛けた。
「山ちゃんーーーーーーー!」



何事かと振り返った山ちゃんは、随分と落着いていた。
「今日はどうしたんですか?」
「どうしたんですかって、出張に決まってんじゃないか。そんなことよりすごい偶然だな-こんな事ってあるんだねーすごいなー」
「そうですね」
「そうですねって、もう少しこう、なんて言うの、感動ってないの、ここ渋谷だよ」
私はかなり興奮しながら言葉を発した。
「まあ、そうですね、くされ縁って言うか、そんな感じですね」
最後までやけに落着いた返答の山ちゃんであった。
短く近況を話し合い、そして恵比寿の駅で別れた。

そう言えば、昔、出張先のラスベガスでも知人に会った事があった。
出会うと言う事は世界地図上で針先の点と点がたまたまつながると言う事だ。すごい奇跡ではないか。
これからもどんな所でどんな人達と出会うのだろうか、すごく楽しみになった日であった。

それにしても山ちゃん・・感動が無かったな・・もしかして・・・?