静寂の中・セミの声

お盆も過ぎた、とある午後、私は祖母の墓参りへと向った。
先祖代々が眠る菩提寺は静けさの中にある。つい先日まではさぞ多くの方々で賑わっていたに違いない境内。
おおくの花々があたり一面の墓石を華やかなものへと変えている。

長い歴史を感じ取るには十分な存在感と装飾の美しい門です。
私はこの写真を撮りながらこの立派な門をくぐって中の方へと進んでいったのです、
するとその先に年配の男性ひとりと年配の女性がふたり、中にある樹齢300年は経っているだろう大銀杏の下で談笑中。
「その門あるだろ、その立派な門はお釈迦様だけが通る事をゆるされた門なんだよ。だから誰彼が通ってはいけない、そう言う門だ」
「へぇ~そうなんだね、だから私達はこちらの小さな入り口からはいったんだね」
年配グループの声が、たった今、その門をどうどうとくぐって来た私のデリケートな耳を一撃。
果たして、もうくぐってしまった私はどうすれば良いのだ。
いったん戻るか、でもそれはなんだかその老人達に操られているような気分になってしまう、まぁいい、ここはひとつ聞かなかった事にしようではないか、セミの声もこんなに美しいのだし。



本堂へと進んで行くと何だか穏やかな心状になる。空を見上げると青さの中に天女が舞っている。
これ程リラックス出来る空間は他にはないのではないか、とさえ思ってしまう。
祖母の墓に、祖母が生前好きだったはずの「甘酒」と「あずき」の缶詰を御供えし、そして静かに、門はくぐらずに帰って来た私なのでありました。

そうそう、せっかくなので「馬肉ラーメン」に舌鼓、これはうまい!

そして今年のお盆も懐かしい顔が帰ってきてくれました。

山ちゃんは初期の頃の「ハーディー」のメンバー、今ではママ似のかわいい女の子のお父さんに。
「いや~以前持っていたお店権事務所、前の奥さんに全部やっちゃって、今は自宅で設計の仕事をしてるんですよ。またそのうち新しい事務所が欲しいっすね」
「そうか、そうだったのか、じゃぁ今度なんかあれば新しい奥さんにそれらを全部やる事が出来ていいね」
「・・・・・・・・なにを言うかと思えばこのオヤジ、いい加減にして下さいよまったくも~」
「えへへっすまんすまん」

みのる君は中期の頃の「ハーディー」のメンバー。
「昨年(居酒屋)で独立したんですよ。場所は湯島、湯島天神のそばなんですよ。橋本さんが先頭切ってあれこれ考えくれていて、バンドのメンバーもみんなここで頑張ってるんですよ。名前は(あおもリ湯島)っていいます。食材はもちろん青森から取り寄せてますよ。ただ、忙しくってバンドの方が・・・・・」
イイ笑顔だ。
厳しい今日この頃、みんな力を合わせて頑張ってくれよ。
「今度、むっつり山ちゃん誘って行ってみようかな!」

O一号こと大森登場、彼は全く超初期の頃のメンバー。私のコラムにもちょくちょく登場してもらっています。
「森ちゃん見ない間に随分小さくなったな~なんなら取り合えずカウンターの上にでも上がっとけよ、ちょっと腹でた?」
「はいはいはい、今朝仙台出てちょうど今八戸に着いたとこです。去年は来れなかったんで今年は家族4人で来たんですよ。これ笹かまのおみやげですどうぞ、みんなでなかよく食べて下さいね。そうそう、これからかみさんの実家に向うので直ぐに出発しますね。こっちいる間に買い物に来ますよ。えへへっこんな時じゃないとなかなか洋服買えないですからね。それじゃ~また」
森ちゃんはそう言うと、さっさと白のハイエースで走り去った。

その後、待てど暮らせど来やしない。
まさか・・・あいつ・・・帰りやがった?
また山登りしようって言われると思って来なかったかな~わかったわかった、もう山登りしようなんて言わないから、よってくれよ、まってるぞ!
だから・写真・無いし。