ネクスト・オクナカ

カービングスキーの存在すら皆目知らずに、かなり振りにスキーを始めてはや数週間、鼻たらしの幼少の時代に味わったワクワク感がたっぷりとよみがえり、どっぷりとつかっております。
そして徐々にロングなコースを求めて、ついにやってきたのが奥中山スキー場であります。

「おおーっ、あれはなかなかのおおきさだ、そしてまた美しいスキー場ではないか」
はやる心を抑えつつ、私は慎重にその山のふもとへと車を滑らせたのであります。

大きいスキー場だけあって、やはり来場客もかなり多く、活気に満溢れております。
早々と私は新調したばかりの黄色いチェックのスキーウエアーに身を包み、その山の上を目指したのであります。

しかしこれがまた急展開な天候不良。山の天気は変わりやすいとは言いますが「変わりすぎでしょ」といった 具合。

ほぼ視界ゼロ。
それでも私は、果敢にもこの悪天候の奥中を攻めたのであります。4回目のリフトではてっぺんまで登ってしまい、谷底を覗いて見ては「これはやばいでしょ」と、ややひるんだものの、そのあたりにたむろっていた人々にはそんな心の動揺はおくびにも出さず、さりげなくレッツゴー!
ふもとに着くまでに3度程急斜面を縦に転げ落ち、雪だるまになりながらのニコニコナイスライディング。
あちらこちらを雪上に強打しながらも、尚、果敢にその急斜面に挑み続けたのであります。
7本目だったでしょうか、ふと我に返った私はあることに気付きました。
そうです、すでに持ちえる体力の限界を超えていることを。
息はキレギレ、モモはパンパンにハレハレ、酸欠で頭はガンガン、大人げなく夢中になりすぎてしまいました。

そんな事態を自覚してしまったものだから、なおさら視界がふらふらになりつつも「もう一回だけ」と無情に動き続けるリフトにライドオン。
するとどうでしょう、少しだけですが太陽が顔を出してくれたのであります。

あまりにも張りきり過ぎて疲れ過ぎて、帰りの車中茫然自失状態。
それでもなんだか、やはり、おもしろい。
「体力が回復したらきっとまた来よう」なーんて思った、すでに体内を乳酸に支配されつつある私でありました。