つちかった深みと味わい



「Amuse」
八戸市ではお馴染みのタウン情報誌、1971年創刊の歴史ある月刊誌だ。
山あり谷あり嵐ありと、なかなかきびしい出版業界においてこれ程までに長い間皆さんに指示され続けているのはほんとすごい事ですね。
今回はスマートな赤表紙。
その表紙の中央部に気になる文字がポツリ。
「ラーメン」

そうです、「ラーメン」の記事が市内近郊を中心に遠くは青森市内までもを網羅し厚紙の保存版で特集しているのでありました。
目を通すとあるはあるは私の知らないところがどっさりと。

トンコツからトリ、魚介など多種多様な食材を駆使したオリジナルスープの数々が満載。
醤油・味噌・塩と選り取り見取り。かなりの見ごたえがあります。
そのなかでふと目に止まったのが透明感のある黄金色に光り輝くこの品格あるひと品。

味楽軒・「梅じそラーメン」
さりげなくさらりとのった一枚の海苔がキラキラと輝く琥珀色のスープをまとい脂ののったチャーシューが二枚気持ち良さそうに浸かっている。
中央には厳選された梅肉がちょこり、大葉と共に鎮座していて想像の中でうまさがどんどん広がってゆく。
これはやはり一度行かなくてはいけない。

じゃじゃ~~~~~~ん!
あのアミューズのなかの写真の雰囲気と全く同じな実写版。
どれどれまずはスープを・・・

ズズズズズズズズズズ~~~~~~~~~~~~~~!

おお~、新鮮な大葉がふんわかときいていてすっきりとしている、その奥には、そうか、これがシジミか、シジミのエキスが豚骨や鶏や煮干などのエキスと相俟って複雑でいて調和の取れたアクセントとなっている。
梅肉も清涼感をもたらし、さらりとした咽越しに一役買っている。

「えっもうここで営業を始めてから30年以上も経つの、それはすばらしい」

厨房に立つ母親と息子がにこりと微笑んだ。
しっかりとした作り手がいて地道に丹誠を尽くして来たからこそ、この長い歴史は刻まれ続けて来たのでしょう。
ほのかに立ち上る湯気は彼等との別れを惜しむかのように、その店内をひと回りしては天上へと消えた。

「ごちそうさまでした、また来ます」


偶然なのですが、その後継ぎは私の知り合いでありました。
ハーレ-を駆る彼は、きっと何処までもこの道を走り続ける事でしょう。