八甲田へと向かう

ふっと、八甲田登山を思い立ったのは自身の休日の前日、朝の情報番組で「八甲田にある無人の別荘から119番の通報があって消防員が急ぎ駆けつけてもそこには誰もいなかったらしい」と言うミステリアスな事件を耳にした時だった。
その心霊的事件に興味があったわけではなく、そう言えばしばらく八甲田山に登っていなかったなーと、刺激的だった大自然体験を思い出したからなのでした。
「よし、行ってみよう」そうと決まれば準備は早いものです。


いつものジョギングタイムに飛び起き、準備万端の荷物を車に積み込み早々に出発。

3時間弱で酸ケ湯に到着、キャンプ用の駐車場に車を止めて、軽い準備運動、そしてその狭い入山口から頂上を目指します。
何年振りだろうこの燃え上がる感覚、なんだかワクワクしてきます。



しばらく続く岩道を抜けると視界が広がり、硫黄分を多量に含む小川の流れる渓谷が姿を現します。きつい硫黄のにおいが鼻をつきますが、苦ではありません。そう言えば以前、道を間違えて先に見える木の橋を渡らずに左側に鬱蒼と草木の生える丘をはって登ってしまった事を想い出します。
どう言う訳か矢印がそっち側を指していたのでした。随分登ったところで下方に本来の山道を確認、そこで間違いに気付き、これまた急こう配な下りに恐る恐る這いつくばって折り返したものでした。
危ない危ない。


順調に進路を歩み、大岳が視界に入ってくるあたり、そこにはまだ残雪がひろがっておりました。
春登山の醍醐味ですね、あれだけスキーに出かけていたのに、もはやすっかりと忘れかけていた「雪」との遭遇、懐かしささえ感じます。このあたりまでくるとやや寒い。
太陽は一向に姿を現してはくれませんが、雨が無いだけでもめっけもんです。




鏡沼が見えてきました。先に続くこの乱雑な石の階段を制覇すればもうすぐ大岳のてっぺんに着きます。


そしてとうとう登頂成功、なんと暑い雲の隙間から幽かな太陽光が漏れてくれました。
完全雨男の私にとってはこの事の方が奇跡的であります。
このあとすぐに、ほんの数秒で再び曇ってしまい、風もなかなか強い状態だったのですぐに下山。登頂もひとつの過程、トレッキング自体がメインなので心残りはありません。


数年前よりかなり道が荒れているように感じます。そりゃあそうですよね、この過酷な環境の中ですから致し方ないところです。
こういった特殊な場所の整備はかなり大変なんだろうなーと少しばかり考えた次第です。階段を組むこの大量の木材はいったいどうやって運んでくるのでしょう?

岩だらけの険しい道をしばらく進むと、平坦な湿地帯が姿を現します。ここはたくさんの種類の植物の群生が見られます。
唯一、のんびりと散策できる場所、と言っていいでしょうね。

その湿地帯を抜けるとぐっといっきに下降出来る木製の階段が現れます。結構急です。
ここまでくると全体の4分の3は過ぎています、あと少し。

険しい下山道が続きます。登りよりも下りの方が危険を感じます。
履きこんだダナーライトのビブラムソールがつるつるでよく滑ります。
どうやら帰ったらソール交換に出さなくてはいけないようですね。


とうとう酸ケ湯が見えてきました。八甲田周辺一周制覇であります。
それにしても視界が悪いですね、スタートしたあたりより悪天候になってしまっています。それでも本格的な雨にならなくて本当に良かった。しかしまだまだこんな天候ですから私の「雨男」返上にはちょっと無理があるようです。
ソール交換が出来上がってきたらまたどこか挑戦したいですね、岩木山に岩手山などなどこのあたりには美しい山々がたくさんありますから、楽しみです。