ああ~この世は・・・

草木が勢い良く芽吹き、一面緑に萌え上がる原野。
そんな生命達の熱い息吹を一身に感じながら、飽きもせずに私は今も走り続けている。
(こんなに続くとは全く思ってもいなかったのですが・・・・。)



早朝のいつものコースの一端。
このあたりは歩くよりもちょっとだけ速い、慣らし段階で通る所。そんなんだから回りが良く見える。
アスファルトで鋪装されたこの歩道の数メートル前方に何やら盛り上がり黒く変色した部分が目に入った。
「なんだこれ、昨日までは何もなかったのに・・・」



「えーーーーーっ、お前ってやつは・・・・すごい、すごすぎるじゃないか!」



こんなにも分厚いアスファルトの壁をぶち破ってこの地表へと姿を表すとは見上げたものだ。
数年前にはど根性ダイコンがかなり有名になって町起こしに一役買っていた事が脳裏を過った。
思うに、多分だが、この芽の種はこのアスファルトがしかれる以前にこの地中にあったに違い無い。
このアスファルトは最近しかれたものでは無いし、私の記憶では数年経過しているはず。
と言う事は数年間発芽の時期を待ちに待っての今回登場と言う事になる。
ちょっとづつちょっとづつ、押し上げ押し上げし、やっとのことで自由という翼を手にいれたのだ。
素晴らしい、生命の神秘ではないか。思わず感動の嵐!

「しかし、お前はいったい何者なのだ。まだ、この状態では何者なのかが全くわからない。」

そこで成長を待ってみる事にした。

1週間後、再びその奇跡の場所へと足を運んだ。



「あれっ何処だったかな~あの辺かな~」

なんだかそれらしいものが見当たらない。1週間もあればそれなりに成長していてもおかしくないのだが・・・・・・どうしたのだろう。
一歩一歩そのあたりと思われる所に近付いてみた。

「え==========っ、もしかして、これって、お前なの!」



「無邪気に蹴られてしまったか」

あまりにも、あまりにも無情な世の中ではないか。

いや、これが日常であり極めて「普通」の事なのかもしれない。

「奴はいったい何者だったのだろう?」

根性があれば、そして運が良ければ、ここからまたグッとくるかもしれないね!